タピオカ文化の円熟を感じる

 タピオカが流行している。
 これは東京に足を運んだことのある人間なら大半が知っていることだろう。

 女子たちはこぞってタピオカミルクティーの行列に並び、お洒落なカフェは軒並みタピオカトッピングを完備している。
 インスタやTwitter等のSNSでは数々のタピオカ報告がなされ、「東京の地名 カフェ」で検索すれば必ず1つはタピオカミルクティーが入り込む。
 更にはミルクティーだけでなく、イチゴミルク、抹茶オレ、ミルクアイスなど様々なタピオカ製品が現れる。

 そんな発展しつづけるタピオカ大流行時代において、とんでもないタピオカ製品が現れた。


 タピオカパンケーキである。


 文化が円熟すれば問題児が現れるのが世の常であるが、タピオカとパンケーキという全く食感の異なる炭水化物の組み合わせを流行で押しきる力業には目を見張るものがある。これにはグラコロバーガーもびっくりだ。

 珍しい流行ものは一度は食べなければ気が済まない私は、先日ついに都内某所でそのタピオカパンケーキと邂逅を果たした。ここにその感想を記そうと思う。


 まずは外見。

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 五センチほどの厚さのパンケーキと、それを覆い隠す真っ白なクリーム。ここまではよくあるハワイアンタイプのパンケーキだった。

 しかし、その上には堂々とタピオカが載せられている。白いクリームの上に黒い粒が鎮座している姿は異質の一言だ。

 更にはパンケーキの周囲に、まるでお洒落なフレンチのソースのごとくタピオカが散らされている。
 なまじ一定感覚で置かれているせいで、これから皿の上でタピオカ神召喚の儀でも行うのかと思うほどだった。


 そんなインパクトのある見た目のタピオカパンケーキだったが、味のほどはどうだろうか。

 実を言うと、思ったよりは悪くなかった。

 そもそも甘さ控えめでまろやかなクリームと、少し塩味のあるパンケーキが非常に合う。ミルククリームに包まれた見た目のわりにはあっさりした印象だ。

 そして問題のタピオカ。
 ふわっとしたパンケーキの食感にもちっとしたタピオカがほどよくアクセントとなっている。意外とありだな、という印象を受けた。


 しかし、食べ進めるごとに問題が発生する。

 タピオカが、重いのだ。

 弾力があり何度も何度も噛まなければならないタピオカ。それといちいち格闘しているうちに、顎関節にどんどん疲労が溜まってくるのだ。
 しかもそれなりの量があり、ボディーブローのようにお腹にずっしりと効いてくる。

 そもそもお洒落なパンケーキなる物体は、おやつでは済まない物量を、ふわふわしたクリームとふわふわしたパンケーキでなんとな~く食べられるように改造した代物である。
 そこにタピオカというかなりの咀嚼回数を要求する代物をぶちこめば、当然それなりの満腹感が生じてくるのが世の摂理である。私が通常の女子の2倍量を食す女でなければ完食は危うかっただろう。



 結論、タピオカパンケーキはそれなりに美味しいが、通常の女子には完食は難しい。

 果たしてこれは、普段タピオカミルクティーを飲んでいるお洒落女子に向けた商品なのだろうか。タピオカに邂逅した瞬間タピオカ狂いに覚醒進化を遂げてしまったネオ・タピオカジョシが対象なのでは……。

 三度の飯よりタピオカが好き、タピオカ依存症で定期的に摂取しないと禁断症状が出るという方は、是非このタピオカパンケーキを食べに行ってほしい。
 それ以外の女子は複数人でシェアして、タピオカを適正量摂取することをお勧めする。